私が以前勤めていた歯科医院で

予約のことを「お約束」と言うように

統一されていた病院がありました。

 

「次回の予約はどうされますか？」ではなく

「次回のお約束はどうされますか？」

と聞くように徹底されていたのです。

 

最初は、なんだか宗教じみたしきたりで

気持ち悪いなと思っていたのですが

ずっと言い続けていたら、心境の変化がありました。

そもそも「予約」ってなんなのでしょうか。

それは

「予め(あらかじめ)約束すること」なんですよね。

患者様と、医療従事者との約束です。

 

私たち医療従事者は、皆様が思っている以上に

予約のことを結構気にしています。

 

もしかしたら皆さんは

「先生たちは当日にちらっと予約を確認しているだけ」

と思っておられるかもしれませんが

決してそんなことはありません。

 

予約の1週間前には

次の週に来られる患者様のカルテを確認したり

必要な準備、打ち合わせなどを始めます。

 

また、月に1度、予約をお忘れになっている方や

1度キャンセルされたまま来院されていない方を確認したり

半年ごとにお越しいただく患者様の

リストアップを行ったりしています。

 

患者様の事を考えるのは

来院されたその時だけではないのです。

これは、皆様がお友達と会う時や

お子さんの行事の時の気持ちに

似ているかもしれません。

 

友達と会う時って

当日に予定を確認するだけでしょうか？

…そんなことはないですよね。

 

事前に手帳を見て

「来週のこの時のお店どうしようかな」とか

考えたりしますよね。

 

行事でもそうです。

「来週は息子の運動会だから、お弁当の段取りしなきゃ…」

とか考えますよね。

 

私たち医療従事者は

その段取りを毎回しています。

 

ですので、当日に来られなかったり

パッとキャンセルされたりすると、がっかりします。

 

すごくいろいろ考えて、準備してたのにな…って

悲しくなります。

 

運動会の日に、お子さんが

「今日は行きたくない」なんて言おうものなら

「今日のお弁当のために買った食材どうするのよ！！」とか

「今日のために仕事の調整したのに！！」と

悲しくなってしまうかもしれません。

 

それと似た感情かな…と勝手に想像しています。

予約も「約束」。

 

皆さんは友達との「約束」を忘れてすっぽかしたり

ダブルブッキングして、片方を切り捨てたりするようなことは

約束を破る行為だと認識があると思います。

 

皆さんはそんなことはされませんよね。

 

でも、医療機関や飲食店の「予約」となると

ちょっと気軽に変更できちゃう気持ちがありませんか。

 

もちろん病気の時や体調不良などもありますので

絶対に来てください！とは思っていませんし

そんな時も無理して来てください！と

言いたいわけではないんです。

 

私たちも、体調を崩して

皆さんに変更をお願いすることがあります。

それは仕方のないことです。

 

ただ、ちょっと明日楽しいお誘いがあったから

そっち行っちゃおっかな…とか

そういう変更はしてほしくないのです。

みなさんは、２つの出来事が重なったとき

無意識に、優先順位をつけていることに

お気づきですか。

 

ブッキングしたときに

どちらかを選ぶということは

そちらの方が優先順位が高いということ。

 

裏を返せば

もう一方はそれほど大切ではないと

深層心理では思っているということ。

 

いろんな理由や、言い訳があると思います。

でも真実は、そういうことなんです。

 

その結果に直面すると

悲しいな…と思ってしまうのです。

矯正治療においては

予約通りに来ていただくと

良い治療結果を得られる確率が高くなります。

 

それはもちろん、私たちが

歯を効果的に動かすために確認したいタイミングだから

という理由もあります。

 

ただ、それだけではありません。

いつも予約通り来ていただいているということは

言い換えると

『他のことよりも

矯正治療の優先順位を高く設定していただけている』

ということ。

 

そういう方は

ちゃんと装置の使用時間も守ってくださいますし

歯磨きも丁寧になされていることが多く

結果として、良い治療結果が得られるのです。

私たちは皆さんと予約、すなわち予め「約束」をしているので

準備をして、来院をお待ちしています。

ぜひ、軽い気持ちでキャンセルはなさらず

お越し頂けると嬉しいです。

 

皆さんの歯ならびが

より良い結果になりますよう

一緒に頑張りましょうね。

 

今日もお読みくださり、ありがとうございました！