BLOGしょう先生のブログ
みなさんは「Soup Stock Tokyo」というお店を知っていますか。
文字通りスープのお店で、街の駅などにある
シンプルな看板のスープ屋さんです。
本書はそのスープ屋さんの初代社長が書かれた本で
会社の創業から軌道に乗るまでの紆余曲折が綴られていました。
経営に詳しい友人が、私におすすめしてくれたので
2ヶ月をかけて読破したのですが
最初の頃はなんだか違和感といいますか…
モヤモヤしていたんです。
社長の遠山さんは、本を読む限りの印象では
「とにかく妥協のない人」です。
スープカップにロゴを1つつけるだけでも
どこにつける?カップの真ん中?
少しずらしてつける?
など、徹底的にこだわります。
お客様に良いものを。
本書のどの部分からも
そんな気持ちがひしひしと伝わってきます。
本書の最後の最後には
遠山さんのこだわりとして、こんな1文が出てきます。
〇「個性的で、意味があり、背景があって、共感できる」
✕「平均化され個性はなく、特段の意味や背景は見出せず、共感もできない」
遠山さんがこだわっておられるものは
まさに私が歯科医院を運営するにあたって
こだわっている部分かも…と共感しました。
でも、この最後のページに至るまで、
なんだか読みながら、ずっとモヤモヤしていました。
根本的なところに「決定的な違い」がありました。
それは「財力」や「地盤」です。
Soup Stock Tokyoは、三菱商事の社員という立場で
事業を始められています。
「社内ベンチャー」です。
遠山さんは三菱商事から、ケンタッキーへ出向し
ケンタッキーのバックアップもある状態での開業。
それはそれは、1個人が取り組む事業とは
圧倒的な財力の差があります。
遠山さんはありとあらゆることに気を配り
挑戦されています。
ただそれは、潤沢な資金が背後にあることや
万が一失敗しても、会社としての損失だけで済む状態。
途中からはご自身も出資していかれますが
スタートラインで0から1を生み出すのは
地盤がある状態から何かを生み出すのと
全く異なるものだと私は感じました。
協力を頼み、来てくれる人たちも優秀で
おそらく1人で開業したら
そんな方をまず雇用できない。
また、その優秀な方のお給料を支払っていくことも
難しいことでしょう。
どうしてもこういった本を読む時は
「自分に、そして医院にどう応用できるか」
「自分にはどんな点が吸収できるか」を
意識の片隅において読んでいます。
そのため、内容を理解しつつも
「それができれば患者様のために
もっと良い医院になると思うけど
財力がないと無理だよね。」と
何度もツッコんでしまいました。
歯科医師が歯科医院を開業する年齢は
人によって違います。
そもそも開業しない歯科医師もたくさんいます。
開業する歯科医師の中でも
親御さんが資産家であったり
親が歯科医師である2世の人は
若くして独立、開業する傾向にあります。
それは、背後に「財力」があるからです。
もちろん「挑戦する熱い気持ち」もあると思うのですが
歯科医院は莫大な設備投資が必要な施設のため
気持ちだけではどうにもならないことが多く
誰かの助けが得られなければ、開業は難しいのです。
銀行からお金を借りたらできるでしょ?と
私も最初は思いましたが
どこの誰かも分からない若造に
銀行が無条件で大金を貸してくれることはありません。
銀行員は営業スマイルで私たちにこう言います。
「何か資産をお持ちですか?
例えば…親御さんの土地とかおうちとか」
若いうちに開業する場合は
親の資産を担保にお金を借りるわけです。
私にはそういった「財力」「地盤」がないので
ずっと開業なんてできないと思っていました。
そういった背景があるので
本を読みながら、結構反発してしまいました。
とはいえ、共感できる部分もありました。
冒頭にも書きました
「個性的で、意味があり、背景があって、共感できる」
という点は、私も目指しているものです。
例えば医院の待合室の床はどうして緑色なのか?とか
どうして患者さんとのカウンセリングテーブルが
波打っている形なのか?などは
全て私なりの意味づけがあります。
意味がないものは作っていません。
そういったところは
本書の遠山さんのように
これからもこだわっていき
患者様に喜んでいただける医院づくりを
頑張りたいと思います。
今日もお読みくださり、ありがとうございました!!