BLOGしょう先生のブログ

読書感想文 お探し物は図書室まで 二章 著:青山美智子

小町さんは蓋を閉じ、僕を見た。
「起業にも、いろいろあるよね。なにをしたいの」

「いつか、雑貨屋をやりたいんです。アンティークの」
「いつか」
小町さんはまた、そこだけ復唱した。

フラットな言い方だったけど、僕はなんだか、あわてて言い訳をしなければいけないような気持ちになった。

「いや、だって、すぐには会社辞められないし。店を開けるほどの莫大な資金をあっさり調達なんてできないし。そりゃ、いつかなんて言ってるうち、夢で終わっちゃうのかもしれないけど」

私は「いつか」という言葉で、口論になった経験があります。

この本を読んで、その時のことを思い出しました。

今日はそのお話を綴りたいと思います。

当時私は28歳ぐらいでした。

社会人として、ようやく生活が安定してきたころ。

私はひょんなことからネパールの多くの人たちが

「本」というものを知らずに一生を終えることを知りました。

 

ネパールの人たちに本をプレゼントするため

図書館を立てようと思いたち

いろいろな方に相談をしていました。

 

その中で、とある50代ぐらいの男性が

私にこう言ったのです。

「君、お金は大事だよ。そういう慈善活動は

いつかお金が溜まったときにするものなんだよ。」

「君はまだ100万円の価値が分かってないんだよ。

今そんなことに使ったら

何かあったときに後悔するよ。」

 

お酒の席ということもあり

私に否定的な見解をずっと語り続けるのです。

 

しばらくは黙って聞いていましたが

私も少し酔っていたので

とうとう言い返してしまいました。

 

「〇〇さんは今までに

何かそういった活動をされたことはあるのですか?」

「いや、ないよ。

だから、いつかお金が溜まったときにするんだよ。」

 

「いつかって、いつですか?」

「そりゃもう、家のローンとか

いろいろ払い終わって生活が落ち着いたらだよ。」

 

「それって、何歳なんですか?」

「それは…その…そのうちだよ。」

ああ、この人と話しても意味がないなって思いました。

 

人生の大先輩として

お金の大切さを教えてくれたことはありがたいですが

お金の大切さを語れるほど

お金に真摯に向き合ったようには感じられない。

人生設計を行っている感じもない。

 

もし、私の質問に対して

「僕はあと5年で住宅ローンを完済するんだ。

そうしたら今までのローン代がかからなくなるから

そのお金を使って世界の貧しい国に

毎月1000円ずつ寄付をしようと思って

妻と話をしているんだよ。」

 

「本当は20代の時から始めようと思っていたんだけど

結婚して家族と暮らし始めると思った以上に余裕がなくて

苦しい経験をしたから

君も今はお金をためておくことを考えても

いいんじゃないかな。」

みたいな回答だったら、私も耳を傾けたかもしれません。

 

でも「いつか困る」とか

「いつかやる」といった漠然とした助言は

何の参考にもなりませんでした。

 

それ以来、その方とお会いすることはなく

今に至ります。

 

…実は、私はこの会話の内容だけ覚えているのですが

誰に言われたことかさえ、すっかり忘れてしまいました。

みなさんは、いつかやりたいなって思っていること

何かありますか。

そして、そのいつかって、具体的にいつなのか

真剣に考えたことはありますか?

 

今このタイミングで、そのいつかを考えることも

悪くないかもしれません。

 

ただ、今回読んだ本では、こんな風にも書かれています。

「・・・・・・・・・・夢で終わる、というか」

小町さんは、かくんと首を傾ける。
「いつかって言っている間は、夢は終わらないよ。美しい夢のまま、ずっと続く。
かなわなくても、それもひとつの生き方だと私は思う。無計画な夢を抱くのも、悪いことじゃない。日々を楽しくしてくれるからね」

いつかと言い続けることは

日々を楽しくしてくれる。

想像だけなら、辛いことには目を背けていられる。

だから、美しい夢のままにしておくことも

悪くないのかもしれません。

 

…あなたが後悔しないのならば。

 

今日もお読みくださり、ありがとうございました!!

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