BLOGしょう先生のブログ
おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。
今日は、友人から矯正治療後によく質問を受ける、「後戻り」について説明したいと思います。
目次
歯が動くのは、人体の不思議とも言えます
矯正治療って不思議だと思いませんか。歯が、矯正装置によってちょっとずつ動いて、きれいな歯並びになる。体の一部分がちょっとずつ動く、なんて、他の体の骨では考えられないですよね。
例えば
「俺、親指をちょっとずつ矯正して、中指と人差し指の間に親指付けてるんだ!!」
なーんて言われたら、驚いて言葉もでないですよね。まず、「歯が動く」と言うこと自体が、人体として非常に特殊であることを知っていただきたいと思います。
歯が動いても、周りの組織はついてこられない
動くことのできる歯を、「会社の超優秀な人」に例えてみたいと思います。
会社にもいますよね、新しい企画を次々と打ち出して、新しい世界へぐんぐん進もうとする人。そういう人はキラキラしているのですが、周りの人はたまったもんじゃありません。
そんな人が上司ともなればさあ大変。組織として必死でついていこうとするのですが、どうしてもその変化についていけない人が出てきます。
そして、みんなのストレスが溜まりにたまって…ついにそのストレスが爆発。ついていけない人達に権力はないけれど、人数はたくさんいるので、多数決でさまざまなシステムを元に戻して一件落着。
そんな経験はありませんか。
歯は、この会社の超優秀な人と同じで、先にぐんぐん動いていきます。でも、その歯の周りには、細かい線維(専門用語では、「繊維」ではなく「線維」と書きます。)があります。その線維は、歯の動きについていけないんですね。
矯正が終わって、歯が正しい位置になったとき、線維は最初の位置からの変化についていけず、最初の位置と矯正後の位置の間で、ピンと張りつめ、ストレスがかかった状態になっています。
矯正治療が終わって、矯正器具を外すと、この線維たちが数を味方にぐいぐいと歯を引っ張り、元の位置に戻そうとしてくるわけです。その結果、せっかく矯正をした歯が元の位置に少し戻ってしまう。
これが、後戻りです。
もちろん線維だけが原因ではなく、他にもさまざまな要素があると言われています。しかし、線維に関してご理解いただくと、後戻りがイメージしやすいと思います。
後戻りとは
矯正治療における後戻りとは、歯を動かして良い歯ならびになった後、歯が矯正治療前の状態に戻ろうとして、歯ならびが崩れることを言います。その要因は諸説ありますが、主に歯の周りを取り囲む線維(せんい)が歯の移動速度についていけず引き延ばされ、その線維が歯を元の位置へひっぱることによると考えられています。
矯正装置を外した直後はその線維が強く引き伸ばされているため、元の位置に戻ろうとする力も強くなっていますが、時が経つとその状態になじみ、歯を引っ張る力が弱くなるとされています。
先ほどの会社に例えますと、組織の急な変化についてこられなかった社員も、一生懸命なだめ、説明し、新しいシステムを使い続けてもらうとその良さが分かり、変化を嫌うことをやめ順応する、ということです。この、順応までに必要な期間として、当院では原則2年間、後戻り防止装置(リテーナー)を使用していただきます。
後戻り防止装置の使用期間は、歯科医院によってまちまち
この装置の使用期間に関しては、私のように原則2年間としている歯科医師もいれば、「歯を動かしていた期間と同じだけ」とか、「歯を動かしていた期間の2倍」と設定している歯科医師もいます。また、「できれば一生つけておいて」と伝える歯科医師もいます。
また、私はほぼすべての患者様で取り外しのできる後戻り防止を選択していますが、医院によっては取り外しのできない、すなわち接着剤で歯にひっつけてしまうタイプの後戻り防止装置をつける医院もあります。
もちろん、歯の裏側につけますので、前から見えることはありませんが、歯磨きはしづらくなるので、私は取り外し式の方が歯の健康のためには良いかな、と思っています。
考え方の違いで使用期間や使用する装置は異なりますので、気になる方は歯科医院で矯正相談時にご相談いただければと思います。
めんどうですが、最後まで頑張りましょう
せっかく矯正が終わったのに、またここから2年間も装置を使わないといけないの??と思ってしまう患者様もいらっしゃると思います。でも、心を鬼にして言います。絶対に、ぜったいに、ちゃんと使ってください!
私たち矯正歯科医院のスタッフは、きちんと後戻り防止装置を使わず、歯が動いてしまって後悔している人をたくさんたくさん見てきました。
そうなってからでは手遅れになります。ぜひ、あと少しだと思って頑張って装置を使ってくださいね。
万が一後戻りしてしまったら
もしかしたらこのページにたどり着いた方で、「どうしよう…もう後戻りしてるんだけど」と悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。
当院では後戻りでお悩みの方の相談も受け付けておりますので、矯正相談にお越しいただいても大丈夫です。
でも、まずはご自身が矯正治療を受けられた医院へ行かれるのが良いかと存じます。過去に治療を受けた記録が残っていれば、再治療にあたり、患者様の歯の特性など、注意すべき点などが良く分かっておられるかもしれません。それが難しいようでしたら、別の医院でご相談されるのが良いかと思います。
患者様に知っておいていただきたいのは、後戻りの程度にもよりますが、一般的に後戻り後の再治療はちょっと難しい、ということを頭に入れたうえで、矯正歯科に行っていただきたいと思います。
意外と多いのが、「再治療なので安いですよね?」と聞かれるんです。でも、再治療が必ずしも安いとは言えません。
後戻りしたということは、もう一度矯正をしても、さらに後戻りする可能性があるわけです。ですから、治療する側も、その後戻りする原因を考えて再治療に取り組まなければなりません。また、前の先生が考えておられた治療方法と、新しい先生が考える治療方法が異なったりすると、これも治療を難しくします。
いろいろと難しい要素がありますので、歯ならびのガタガタ量は以前より少なくても、「再治療は決して簡単ではない」ということだけ、覚えておいてくださいね。
今日もお読みくださりありがとうございました!
オンライン相談受付中
当院では期間限定で、歯の悩みのオンライン相談を実施しております。どうぞお気軽にご利用ください。
コロナウイルスという見えない不安でストレスが溜まっていることと思います。皆様の不安を少しでも減らすことができれば幸いです。
それでは、今日も一日楽しく過ごしましょう!!