BLOGしょう先生のブログ
おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。だんだん蒸し暑くなってきましたね。
今日は、私が矯正治療に携わってきて、ずっと悩んできた言葉について、書きたいと思います。
目次
あとどのぐらいかかりますか?
「あとどのぐらいかかりますか?」
私はこの言葉がとても苦手でした。「でした」と過去形で書きましたが、今でも少し苦手です。
毎月通っている患者様や、そのお母さまから、何度も何度もこの質問をされました。
そのたびに、ああ、辛いな、苦しいなって悩んでいました。どうして、この言葉が苦手だったのか…
それには、2つの理由があります。
批判されている気分になっていた
「あとどのぐらいかかりますか?」の裏に「まだ終わらないんですか?」という批判的な意味が込められているような気がしました。
例えば皆さんが、算数の問題を解いていたとします。
ちょっと難しい問題で、考えながら筆を走らせているときに、「あとどのぐらいで解けますか?」って聞かれたら、どんな気持ちになるでしょうか。
「早く解いてよ」って言われている気持ちになりませんか。そして、焦りませんか。
早く終わらなきゃ、期待に応えなきゃって思いませんか。それが私にとってはとても苦痛でした。
分からないけれど、「分からない」と言えないジレンマ
もう1つの理由は、あとどのぐらいで終わるのか?という質問に対して、ある程度の予測はできても、本当にそうなるかは分からないので、何を言ってもいい加減な答えになってしまうということです。
あとどのぐらいかかりますか?と聞かれるからには、きちんとお答えしたいと思うのですが、分からないものは分からない。
だけど、分からないと答えるわけにはいかないので、おおよその目安を答えます。
しかし、おおよその目安通りに終わらないことも絶対に出てくるのです。
そして終わらなければ、また「あとどのぐらいかかりますか?」と聞かれるのです。
それが、私にとって、嘘をついているようで、すごく嫌でした。
予め何度も説明をする
今も「あとどのぐらいかかりますか?」という質問は苦手です。
でも、以前よりは克服できているように思います。
その理由は、「矯正相談や診断の時に、期間は分からないということをはっきりと前もってお伝えしている」からです。
矯正治療における「診断」とは、レントゲンなど各種検査を行った後に、その検査結果から導き出される治療方針を説明する回のことを指します。
この診断の時に治療に関する同意書を交わすのですが、私は1番最初に、予測される治療期間のあいまいさを説明しています。
そのことによって、患者様のご理解を得られているので、あとどのぐらいかかるのかという質問自体が少なくなっています。
また、説明を前もってしているにも関わらず質問をされるということは、私のことを責めているのではなく、何か急ぎの理由があるのではないか?と考えられるようになりました。
ですので、「何かお急ぎの理由がありますか?」とお尋ねする心の余裕ができるようになりました。
期間を限定している歯科医院もある
矯正歯科の中には、絶対に○○回で治療を終了させる、と決めている医院もあると聞いたことがあります。
それは、患者様にとっては期間が予測しやすいという面では、とても良いかもしれません。
でも、○○回終わっても、やっぱりもう少しきれいにしてあげたい、とか、もうちょっと噛めるようにしてあげたい、とか、そういったことがあると思うんですね。
また、予想より歯の動きが悪かった、とか、予想外のところから歯が生えてきた、といった場合もあると思います。
それでも無理やり規定回数で終わらせるとなると、どうしても妥協すべき点が出てくるはずです。
それはそれで、ちょっと違うのではないかなと、私は思ってしまいます。
患者様の事情で、どうしても早く終わらないといけないとか、そういった場合には少し妥協して治療を終了することもやむを得ずですが、そうでなければ、できるだけ将来末永く楽しくお食事ができるように、よい歯並びにしてあげたいな…と思ってしまいます。
いろいろな考え方がある
矯正治療に対する私の考え方が正しい、間違っているということではなく、いろいろな考え方があるということを少しでも知っていただければと思いながら、今日の記事を綴りました。
患者様にも、いろいろなお考えがあると思います。
矯正治療開始にあたり、何件かの矯正歯科で相談をしていただくと、その先生の考え方などが少し分かるのではないでしょうか。
矯正相談で感じた患者様ご自身のお気持ちを大切にして、ご自身に合った医院を選んでいただきたいと思います。