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第105回【ネット記事から考える】タコ焼き診療って知ってますか?【矯正コラム】

おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。

今日は、とあるネット記事にありました、「タコ焼き診察」について、私自身の過去の経験からお話したいと思います。

ネット記事全文は、こちらからご覧ください。

【外部リンク】「タコ焼き診察」って?知っておきたい「悪い歯医者」の見分け方

 

 

タコ焼き診療って何?

こちらのネット記事で紹介している「タコ焼き診療」について、このように説明があります。

私たち歯医者の間で使われている隠語に「タコ焼き診療」という言葉があります。タコ焼き器のように、診療チェアに患者をズラリと並べて、同時進行で手早く治療していくスタイルを指します。

 

関西の人にはおなじみ、たこ焼き。

たこ焼きを手際よくクルクルと回し、できたらケースへポンポンと放り込んでいく。

そんなたこ焼きに患者様をなぞらえているのでしょうか。

患者さんを次々に短時間で診療し、終えていくというスタイルです。

 

 

実際に経験しました

こんなたこ焼き診療、本当にあるの?と思われるかもしれませんが、実際にこれに近いことを、若い時に経験したことがあります。

まだ若葉マークがつくような、新人歯科医師のころで、矯正歯科ではなく、一般歯科で研鑽を積んでいました。

 

院長「しょう先生、今日は混んでるの分かる?あそこに待っている人のカルテが積んであるでしょ。」

私「はい」

院長「そういう時はね、お薬を変えるだけでお帰りいただいて。」

私「??…はい」

 

また、ある日には

院長「しょう先生、今日は空いているの分かる?あそこにカルテないでしょ。」

私「はい」

院長「そういう時はね、他に虫歯がないかよーく探して。」

私「…はい」

 

まだ研修医を終えたばかりで、目がキラキラしていた私は、現実を見た気がして悲しくなったことを覚えています。

 

もう10年以上も前の話ですから、今もそんな歯医者があるかは分かりませんが、でも、そういうところがあったのは事実です。

 

「その患者様に何が必要か?」ではなく、「今日は混んでいるかどうか?」で処置内容が決まる。

そして、混んでいたらたこ焼き診療にするのがルール、というところは確かにあったのです。

 

 

必ずしも悪いのか?と言われると

私は今、10年以上前のこの出来事を振り返って。

当時はちょっと許せない!おかしい!と思っていたのですが、今改めて、「あのたこ焼き診療が完全に悪か?」と言われると、うまく答えられる自信がありません。

 

なぜなら、その歯科医院には、歯が痛くなって、予約もなく、飛び込みで来院される患者様が多かったからです。

 

歯に痛みを抱えて来院される方は、救急として来院されるので、歯が痛いわけです。

待合室で5分、10分と待つうちに、痛みが増してきます。

イライラも募ります。

 

おまけに、予約せずに待合室へお越しになっているわけです。

その方のために確保している時間は、ありません。

誰かの時間を削らなければ、その方を見ることはできないわけです。

 

そう考えると、院長先生が必ずしも間違いとは言えないように、思ってしまいます。

 

 

トリアージに似ているのかも

トリアージってご存じですか?

災害現場などで、たくさんの重傷者が出たときに、どの方を優先して救助するか、手当の優先度を判別することです。

歯科でも、もちろん重症度は異なりますが、その優先度を考えて、治療を行っていると言えるかもしれません。

 

痛みのある方を優先して、治療して楽になってもらう。

それが悪いことだとは、言えないように思います。

 

 

倫理的な問題

トリアージも、歯医者での救急患者優先も、根本的にそれが最も正しいか?と問われると、難しい問題だなと思います。

 

予約をきちんとして来院した人の立場で考えると

「予約をしているのだから、その人をちゃんと見るべき」というのも一理ありますし、

「普段から歯の手入れをしている人が後回しにされて、普段手入れをしていないから虫歯になった人を優先で診るのもおかしい」という意見ももっともです。

 

また、急に歯が痛くなった人の立場で考えると

「痛くてしょうがなくて、困って来ているのに、いつまで待たせるの?」というお気持ちも分かります。

 

みなさんが思っておられる以上に、歯科医療の現場って、判断が難しいことが多いんです。

 

 

さまざまな側面から、考えてほしい

冒頭にご紹介したような、インターネットの記事って、とてもキャッチーで読み手の心を動かすのが上手ですよね。

ただ、この記事を読んで、「タコ焼き診療は悪だ!」と決めつけてしまうのも、少々偏りすぎた見解かと思います。

 

みなさんは屋台のたこ焼きを食べようと思って並んでいて、手際が悪くて1人前ずつ焼く職人さんがいたらどう思いますか?

「いや、もっと焼く鉄板あるんやから、さっさと同時進行で焼いてくれよ!」

「そのたこ焼きが焼けるまでの間に、他にできることあるでしょ?」

って思いませんか?

 

「いやあ、私だけのために時間をかけて、丁寧にたこ焼きを焼いてくれているなんて…」と思う人がどのぐらいいますでしょうか。

 

世の中には、効率も大切な一面があります。

1つの事象から善悪を考えるのではなく、さまざまな側面から、歯科医療の善悪を考えてほしいなと思います。

今日もお読みくださり、ありがとうございました!

 

 

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