先日、10歳以上若い世代の人たちと話をしていたら

「家族や大切な人には、言いたいことを言うべきか」

という議論になりました。

その場にいた若い人たちは口を揃えて

「言いたいことは言うべき」と唱えていたのですが

私の中ではどうも腑に落ちませんでした。

ただ、それがうまく言語化できずでした。

 

そして帰ってからいろいろと考えてみて

ようやく整理ができてきました。

 

私はその議論の時に

「僕はやんわりとは言いたいことを言うけど

それでも聞いてくれない時は自分が折れるな…」

と話しました。

 

例えば、私は小学生のころに、母に

「祖父母がヘビースモーカーだけど

たばこは体に悪いからやめてほしい」と

懇願したことがあります。

 

小学校でたばこの害について学んだからです。

 

でも、母は聞いてくれませんでした。

今、タバコを吸って、幸せそうな祖父母を優先したのです。

 

まだ正義感もかなり強かった私は

なかなか主張を曲げませんでした。

 

とうとう母は機嫌が悪くなって

「タバコは体に悪いのは知っているけど

正論ばっかり言わないで。」と私に注意しました。

私はそれ以上何をすることもできませんでした。

 

そしてある日、脳血管系の疾患で

祖父母は早くにこの世を去りました。

 

長い闘病期間を経て旅立った後で

母が「タバコが良くなかったのかな…」と

つぶやいたことを私は一生忘れません。

 

健康を失ってから、命を失ってから

後悔しても遅いのです。

たばこは体に悪いと誰もが知っているけれど

それを伝えたところで

「あなたのそれは正論」と言われて通らなかった。

この悔しさは、今でもずっと心に残っています。

 

 

冒頭の話に戻りましょう。

「言いたいことは言うべきか」という議論において

まず私の中で「言いたいこと」になりうるものは

・健康に関わること

・命に関わること

・人に関わること

などだと思います。

 

例えば、自分の体を壊すような働き方で激務を続けていたり

自分さえ良ければ良いという考えで自由なふるまいをして

誰かを傷つけていたり。

 

そういった状況で私は「言いたいこと」が生まれます。

ただ、その言いたいことって

結局言っても響かないことも知っているんです。

 

たばこの件もそう。

タバコを吸っている人自身や

その人の大切な人が大きな病気をしたり傷つくような

よっぽど衝撃的な出来事がなければ変わらない。

 

私のような非喫煙者が言ったところで

なんにも響かないのです。

 

健康を害するほどの暴飲暴食だとしても

病気にならなければ

「ちょっと運動しないとなあ」ぐらいで

終わらせてしまう。

 

そして歳を取ったら今度は

「若くないから動けない」と言う。

 

だからそうならないように

若いうちに運動した方がいいよと伝えたのに。

それ以外にも

私はたくさん、間違っていると思うことを

家族や、大切な人と話し合ってきました。

 

でもみんな「それは確かに正論だけど」と

まともに取り合ってくれなかった。

 

そして、数年後になってようやく

私の言っていたことに気づいてくれる。

 

そんなことばっかりを繰り返して

大人になりました。

 

こうやって書いてみると

だんだんと自分の言いたいことがまとまってきました。

 

私が「やんわりと言いたいことを伝える」時は

数年後や１０年後を見て

話をしているんだと思います。

 

もちろんそれで伝わるときもあるのですが

全然相手に伝わらない時があります。

 

そういう時、聞いている側の人は

「今」を見て話をしているのだと感じます。

 

そうなると、この人には今私が言いたいことを伝えても

意味がないのではないか？

そう思って、言うのをやめてしまいます。

 

今私が言いたいことを

この人が理解してくれるのは

まだ先のことだ…と思ってしまうのです。

先日一緒に話していた若い人たちは

いったいどうやって

言いたいことを言っているのでしょうか。

そしてそれでどうやって

相手が理解してくれているのでしょうか。

 

私は、なかなか理解してもらえることが少ないので

自分が我慢する側になっている気がします。

 

我慢することは良くないとみんなは言ってくれますが

伝えたところで伝わらない

「あなたにこの大切さが分かるのはまだ先か…」と

思ってしまうこのもどかしさを

どうしたらいいのかな…と悩んでしまいます。

 

今日は書きながら自分の思考をまとめてみました。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました！！