BLOGしょう先生のブログ
おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。
もうすぐ受験シーズンだというのに、緊急事態宣言が出て、いろいろと受験生には大変な環境になっていますね。
どうぞ体調を崩さず、頑張ってくださいね。
さて、歯医者になるには大学受験が必要です。
受験にちなんで、どうやったら歯医者になれるのか?という記事を書きたいと思います。
(初稿:2020年5月31日 更新:2021年1月14日)
どうやったら歯医者になれるの?
高校生の頃って、どうやったら歯医者になれるのか?というところから分からないですよね。
歯医者になるためには、大学で歯学部に入って、卒業して、歯科医師国家試験に合格する必要があります。
歯学部は普通の学部と異なり、6年制です。
大学を卒業するためには、6年間大学に通わなければなりません。
「なるほど…歯学部は6年生だから、6年で歯科医師免許が取れるんだな。」
そう思ったあなた、残念ながら50点です。
正しくは、「最短6年で歯科医師免許を取る権利が得られる」です。
留年も多い
歯学部は留年が多い学部です。
私が大学に入学した年は、同期が60名でした。
しかし、卒業するまでの6年間で、15名が留年しました。
つまり、4人に1人が留年しました。
まあまあの留年率ですよね。
歯学部は講義の中で実習(入れ歯を作ったりする授業)が多いため、きちんと出席していないと単位が取れなかったりします。
そして、時間割が朝の9時から5時までびっしりと埋まっているので、1単位落とせば即留年となります。
なかなかシビアな世界なんです。
国家試験浪人も多い
国家試験の合格率も大体70%程度です。
2020年の合格率は65.6%だったそうです。
3人に1人は不合格になる計算です。
「あ、100人受けて、65人合格したのか…」と思った方はいらっしゃいませんか?
あまい!!甘すぎます。
キャラメルマキアートコーヒー抜きぐらい甘すぎます。
何が甘いのか。
これはぜひ知っていただきたい、数字のカラクリがここに潜んでいるのです。
出願者と、受験者に大きな差があるという不思議
このデータを見てください。
これは、歯科医師国家試験の受験データです。
出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
新卒・既卒含む全体 | 3,798人 | 3,211人 | 2,107人 | 65,6% |
引用元 厚生労働省プレスリリース https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000606931.pdf
「新卒」とは今年大学を卒業した人、そして「既卒」は既に大学を卒業している人のことです。
つまり既卒は歯科医師国家試験の浪人生ということになります。
先ほども述べました通り、2020年の合格率は65.6%なのですが…
ちょっと変なことに気が付きませんか?
そう、「出願者数」が3,798人なのに「受験者」が3,211人しかいません。
人数が500人以上違いますよね。
これはどうしてなのでしょうか?
もしかしたら熱を出した人がいるかもしれません。
でも1年に1回しかない国家試験です。
500人以上が熱を出すでしょうか?
実はここに、数字のカラクリがあるんです。
大学の合格率を高く見せるためのカラクリ
結論から言いますと、「大学側が、学力が低く国家試験に合格する見込みが低い者に、受験をさせない」のです。
どういうことか、具体的に説明します。
例えば卒業予定の歯学部6年生が100名いたとします。
皆、国家試験を受けますから、出願者数は100名です。
しかし、明らかに学力の足りない学生が50名いたとします。
その50名に国家試験を受けさせたら、きっと不合格になると予想されている学生です。
その子たちに「玉砕覚悟でいってこーい!!」と声をかけて、受験をさせたところ、案の定不合格でした。
これは、大学にとって大問題なのです。
何が大問題なのかと言いますと「歯科医師国家試験の合格率が低い大学」と認定されてしまうのです。
某大学は100名受験したけれど、50名が不合格で、50名しか合格していないわけですから、合格率は50%となります。
「うちの大学は国家試験2人に1人しか合格しません!!」
ってアピールしている大学があったら、あなたは行きたいと思いますか?
おそらく、行かないでしょう。
でももし、予め受験前に、確実に落ちる50名に受験をさせなければ、どうなるでしょうか?
受験者は50名で、合格者も50名。
そうなると、この某大学の国家試験合格率は100%になります。
「うちの大学は国家試験合格率100%です!」と胸を張って宣伝できるのです。
私は、この制度はおかしいなと思っているのですが、合格率の算出方法は、合格者数÷受験者数×100(%)なので、このようなカラクリがまかり通ってしまっているのです。
実際は65%より狭き門
いかがでしたか。カラクリが分かりましたでしょうか。
「出願はしたけれども、受験はできなかった」という人が、500名。
そもそも受験という土俵に立てなかった人が500人以上いるということです。
こういった狭き門を通り抜けて、歯科医師になることができます。
ですので、最短で6年、と頭に入れておいていただくと良いかと思います。
なお、本日お話したような数字のカラクリがありますので、高校生の皆さんは、どの大学を受験するかを考える際に、その大学の国家試験合格率だけで判断しないよう、気を付けてください。
みなさんのように歯学部を目指す方が、合格率を見て学校を選ぶことが多いということを、大学側も知っています。
ネットニュースなどでも、合格率の高い大学は大きく名前が載ります。
それが宣伝になるから、合格率を高く見せようとするのです。
塾などが掲載している合格率も、「出願者数」で合格率を出しているのか、「受験者数」で合格率を出しているのか、気を付けて見るようにしましょう。
もし、その2つの数字に大きく差があるようであれば、卒業を目前にして国家試験を受験できない、つまり留年してしまう可能性がある、ということを知っておいてくださいね。
もちろん、一生懸命勉強すれば、どの大学でも合格できます。
大学に入れば歯科医師になれる、と誤解せず、大学に入ってからもきちんと勉強するようにしましょう!
今日もお読みくださり、ありがとうございました。