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第140回【どっちを選ぶ?】もう少し待ったら、歯ならびは良くなりますか?【矯正コラム】

おはようございます。

今日は、親御さんからよくある質問について、お答えしたいと思います。

 

 

「もう少し待ったら、歯ならびは良くなりますか?」

矯正相談に来られる小学生のお子さんは、乳歯から永久歯に生え変わる時期です。

低学年のお子さんだと、一番奥に6歳臼歯が生え始めて、前歯も何本か出てくる時期になります。

 

前歯が出てきた時点で、ちょっと歯がガタガタしている…そんな時、多くのお母さんがこう考えます。

「まだ生え変わりが始まったばかりだし、これからこの子も成長するから、だんだんガタガタもなくなってくるんじゃないかしら。」

 

でも、その希望的観測は、ほぼ、外れます。

将来ガタガタになる可能性が高いです。

 

 

成長は断定できない

「ほぼ、外れます」と書いたのは、もちろん例外があるからです。

もしかしたら、これから急激にあごが成長して、歯がならんでくることがあるかもしれません。

それは、誰にも分かりません。

 

小学校の時に背の順で一番前だったお子さんが、中学校に入ってクラスで一番背の高い子になる確率は低いです。

でも、0%ではないわけです。

 

矯正治療は成長を考えながらの治療になりますので、確実なことはお話しできません。

ただ、私たち歯科医師の経験上、前歯がガタガタになっているお子さんが、将来きれいな歯ならびになる確率は低いです。

(でも、0%ではないわけです。)

 

 

1つの参考になる指標

前述の通り、個人差があることをご理解いただいた上で、将来の歯ならびを予測する、1つの指標があります。

それは「霊長空隙」と呼ばれるものがあるかどうかです。

 

霊長空隙と書いて、レイチョウクウゲキと読みます。

これを平たく解説すると、

「乳歯が生え変わる頃に、歯と歯の間に隙間がありますか?」ということです。

こちらはインターネット上で写真素材として出されていた写真なので、完全に100点満点の歯ならびではないのですが、霊長空隙の分かりやすい例になるかと思いご紹介します。

上の歯の、前から2番目と、3番目の歯の間に、隙間がありますよね。

この隙間が、上の歯ならびの霊長空隙です。

人間だけでなく、サルやマンドリル、マントヒヒなどにも存在すると言われています。

霊長類最強女子と言われる、吉田沙保里さんにもあったはずです。

 

このような、乳歯と乳歯の間に、隙間がない場合は、基本的には大人の歯が入るスペースはないと考えてよいです。

 

 

発育空隙もある

霊長空隙以外にも、発育空隙(ハツイククウゲキ)というものがあります。

6歳臼歯が生えてくるころには、霊長空隙だけでなく、他の場所にも隙間ができてきます。

大人の歯が入るスペースを確保するために、隙間ができてくるんです。

つまり、歯が生え変わるころには、乳歯のあちらこちらに、歯と歯の間に隙間ができているのが正しい状態となります。

 

 

まだ数本の生え変わりでも、すでに結果は見えている

ここまでお読みいただいた方はご理解いただけたかと思いますが、大人の歯が生えてくる場所というのは、「乳歯が生え変わり始める前から」準備が始まっているのが本来の正しい状況です。

すなわち、大人の歯が生えてきた時点でスペースが足りないということは、大人の歯が生えるための準備が不足しており、ガタガタになることが予測できるんです。

 

親御さんが願う「もう少し待ったら、歯ならびは良くなりますか?」という希望は、あまり期待できないということ、お分かりいただけたのではないかと思います。

 

 

これを踏まえて、どう考えるか

繰り返しになりますが、霊長空隙・発育空隙がないとガタガタになるというのは、おおよその予測です。

確率は高いものの、100%でガタガタになると確約するものではありません。

生え変わったらきれいに並ぶ確率も、0%じゃないのです。

ですので、そのままお子さんの成長を見ると判断されることも、悪いことではありません。

 

ただし、全ての歯が生え変わった時や、ある程度生え変わりが進んだ後に、やっぱり子どもの矯正をしたい!と思っても、その時には小児矯正の適齢期を過ぎている、というリスクもあります。

両方の面から見て、お子さんの矯正をどうするかご検討いただくと良いかと思います。

 

 

うちの子、賢くなりますか?

お子さんを塾に行かせるかどうか?という問題が、矯正するかしないか問題にちょっと似ているかもしれませんね。

 

皆さんはなぜ、お子さんを塾に行かせるのでしょうか。

別に塾に行かなくても、賢くなるかもしれませんよね。

でも、多くのお母さんが、塾に行かせるわけです。

 

「このままお家で勉強していて、賢くなりますか?」と聞かれても、誰も分かりません。

そのお子さんの潜在能力がいつ解放されるかも分かりません。

もしかしたら、塾で能力が開花するかもしれないし、しないかもしれない。

あくまでも、一般的には塾に行った方が勉強量が増えるので、賢くなる傾向にある、という判断で、親御さんが選択していますよね。

 

不確定な要素がある中で、塾に行かせると決める親御さんもいれば、学校の勉強だけで頑張ると決める親御さんがいます。

 

矯正治療も同じです。

もしかしたら例外があるかもしれませんが、基本的には成長により前歯のガタガタが改善することはありません。

その状況を予測して、矯正をするか、しないか。

 

ご参考になれば嬉しいです。

 

 

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