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第74回【情報操作に気を付けて】どうやったら歯医者になれるの?【矯正コラム】

おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。

もうすぐ受験シーズンだというのに、緊急事態宣言が出て、いろいろと受験生には大変な環境になっていますね。

どうぞ体調を崩さず、頑張ってくださいね。

 

さて、歯医者になるには大学受験が必要です。

受験にちなんで、どうやったら歯医者になれるのか?という記事を書きたいと思います。

(初稿:2020年5月31日 更新:2021年1月14日)

 

 

どうやったら歯医者になれるの?

高校生の頃って、どうやったら歯医者になれるのか?というところから分からないですよね。

 

歯医者になるためには、大学で歯学部に入って、卒業して、歯科医師国家試験に合格する必要があります。

歯学部は普通の学部と異なり、6年制です。

大学を卒業するためには、6年間大学に通わなければなりません。

 

「なるほど…歯学部は6年生だから、6年で歯科医師免許が取れるんだな。」

そう思ったあなた、残念ながら50点です。

正しくは、「最短6年で歯科医師免許を取る権利が得られる」です。

 

 

留年も多い

歯学部は留年が多い学部です。

 

私が大学に入学した年は、同期が60名でした。

しかし、卒業するまでの6年間で、15名が留年しました。

つまり、4人に1人が留年しました。

 

まあまあの留年率ですよね。

 

歯学部は講義の中で実習(入れ歯を作ったりする授業)が多いため、きちんと出席していないと単位が取れなかったりします。

そして、時間割が朝の9時から5時までびっしりと埋まっているので、1単位落とせば即留年となります。

なかなかシビアな世界なんです。

 

 

国家試験浪人も多い

国家試験の合格率も大体70%程度です。

【関連記事】歯科医師臨床研修の現状(外部サイト)

2020年の合格率は65.6%だったそうです。

3人に1人は不合格になる計算です。

 

「あ、100人受けて、65人合格したのか…」と思った方はいらっしゃいませんか?

 

あまい!!甘すぎます。

キャラメルマキアートコーヒー抜きぐらい甘すぎます。

何が甘いのか。

 

これはぜひ知っていただきたい、数字のカラクリがここに潜んでいるのです。

 

 

出願者と、受験者に大きな差があるという不思議

このデータを見てください。

これは、歯科医師国家試験の受験データです。

出願者数 受験者数 合格者数 合格率
新卒・既卒含む全体 3,798人 3,211人 2,107人 65,6%

 

引用元 厚生労働省プレスリリース https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000606931.pdf

 

「新卒」とは今年大学を卒業した人、そして「既卒」は既に大学を卒業している人のことです。

つまり既卒は歯科医師国家試験の浪人生ということになります。

 

先ほども述べました通り、2020年の合格率は65.6%なのですが…

ちょっと変なことに気が付きませんか?

 

そう、「出願者数」が3,798人なのに「受験者」が3,211人しかいません。

人数が500人以上違いますよね。

これはどうしてなのでしょうか?

 

もしかしたら熱を出した人がいるかもしれません。

でも1年に1回しかない国家試験です。

500人以上が熱を出すでしょうか?

 

実はここに、数字のカラクリがあるんです。

 

 

大学の合格率を高く見せるためのカラクリ

結論から言いますと、「大学側が、学力が低く国家試験に合格する見込みが低い者に、受験をさせない」のです。

 

どういうことか、具体的に説明します。

 

例えば卒業予定の歯学部6年生が100名いたとします。

皆、国家試験を受けますから、出願者数は100名です。

 

しかし、明らかに学力の足りない学生が50名いたとします。

その50名に国家試験を受けさせたら、きっと不合格になると予想されている学生です。

 

その子たちに「玉砕覚悟でいってこーい!!」と声をかけて、受験をさせたところ、案の定不合格でした。

これは、大学にとって大問題なのです。

 

何が大問題なのかと言いますと「歯科医師国家試験の合格率が低い大学」と認定されてしまうのです。

 

某大学は100名受験したけれど、50名が不合格で、50名しか合格していないわけですから、合格率は50%となります。

「うちの大学は国家試験2人に1人しか合格しません!!」

ってアピールしている大学があったら、あなたは行きたいと思いますか?

おそらく、行かないでしょう。

 

でももし、予め受験前に、確実に落ちる50名に受験をさせなければ、どうなるでしょうか?

受験者は50名で、合格者も50名。

そうなると、この某大学の国家試験合格率は100%になります。

「うちの大学は国家試験合格率100%です!」と胸を張って宣伝できるのです。

 

私は、この制度はおかしいなと思っているのですが、合格率の算出方法は、合格者数÷受験者数×100(%)なので、このようなカラクリがまかり通ってしまっているのです。

 

 

実際は65%より狭き門

いかがでしたか。カラクリが分かりましたでしょうか。

 

「出願はしたけれども、受験はできなかった」という人が、500名。

そもそも受験という土俵に立てなかった人が500人以上いるということです。

こういった狭き門を通り抜けて、歯科医師になることができます。

 

ですので、最短で6年、と頭に入れておいていただくと良いかと思います。

 

 

なお、本日お話したような数字のカラクリがありますので、高校生の皆さんは、どの大学を受験するかを考える際に、その大学の国家試験合格率だけで判断しないよう、気を付けてください。

みなさんのように歯学部を目指す方が、合格率を見て学校を選ぶことが多いということを、大学側も知っています。

ネットニュースなどでも、合格率の高い大学は大きく名前が載ります。

それが宣伝になるから、合格率を高く見せようとするのです。

 

 

塾などが掲載している合格率も、「出願者数」で合格率を出しているのか、「受験者数」で合格率を出しているのか、気を付けて見るようにしましょう。

もし、その2つの数字に大きく差があるようであれば、卒業を目前にして国家試験を受験できない、つまり留年してしまう可能性がある、ということを知っておいてくださいね。

 

もちろん、一生懸命勉強すれば、どの大学でも合格できます。

大学に入れば歯科医師になれる、と誤解せず、大学に入ってからもきちんと勉強するようにしましょう!

 

今日もお読みくださり、ありがとうございました。

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