BLOGしょう先生のブログ
おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。マリンパーク駅のツバメが、巣から外に出ていました。見えますか??
さて今日は、いつもと少し趣向を変えて、衛生士向けのコラムを書いてみました。
特に今年衛生士になったばかりの方など、経験の浅い方を対象に書いています。
歯科関係以外の方には、ちょっぴり用語が難しいところがあるかもしれません。
でも、歯科の先生や衛生士さんってこんなこと考えながら仕事してるんだ!なんて思いながら読んでいただけると嬉しいです。
それでは、今日も張り切っていきましょう!!
損して「徳」取れ?
私は今回の記事を書くにあたり、印象の極意は「損して得取れ」だと思ったんです。
(歯科関係ではない方のために補足しますと、「印象」とは歯型取りのことです。)
我ながら良いキャッチコピーだと思ったのですが、果たして正しい日本語なのかどうかが分からなかったので、念のためネットで調べてみました。
すると、昔は「損して徳取れ」だったと書いてある記事を見つけました。
今回の印象の極意は、こちらの「徳」の文字の方が伝えたいことに近いかなと思います。
別に私たちが何か得をするってことではないんです。
でも、上手に印象ができると、印象をされる子どもたちに成功体験を与え、自信をつけることができますし、親御さんにも喜んでもらえる。
そして、私たち歯科従事者の信頼度が増す。
そういった「徳」の効果があります。
では、損するのは?
「徳」を得るために損するものは何か?と言いますと、それは「時間」です。
ただでさえ難しい印象ですが、お子さんがぐずってしまったりすると、「早くとらなきゃ!!」と思ってしまうんですね。
特に新米衛生士は焦りが強く出てしまって、何度も失敗してしまったりします。
ベテランの衛生士でも、かなり強引に印象をする人っています。
ベテランの場合はそれで大体印象が取れているから結果オーライではあるのですが、子どもは号泣です。
大切なのは、不安な気持ちに寄り添うこと
歯型取りは大人でも嫌いな人が多いです。
特に多いのが、型取りの最中にウエッとなってしまう「嘔吐反射」。
これはどうしても避けられない方も一定数いらっしゃいますが、その多くが心理的なものです。
怖いなあ、痛いなあ、辛いなあ…こういった気持ちが、嘔吐反射を誘発します。
ですから、お子さんに早くして!と威圧的に向かっていくのは逆効果なのです。
怖くない、痛くないと思ってもらう努力が必要になります。
そして、その努力をするには、多くの時間を消費してしまいます。
でも、前述のとおり、その時間を損すれば、「徳」が得られますから、時間をかけるだけの価値はあるのです。
お子さんはどんなことが怖い?
印象において、お子さんが怖がっているポイントは、ある程度絞ることができます。
- 大きなトレーを口に入れるのが怖い
- 奥まで印象トレーを入れるとウエッとなる
- 得体のしれないネバネバが口の中に迫ってくる
- 息ができない、苦しい
こんなところです。それぞれについて、どのように時間を使い、恐怖心を取り除けば良いのでしょうか。
1)大きなトレーを口に入れるのが怖い
これに関しては、まずお子さんにトレーを触らせてあげましょう。
怖くないもの、痛くないものだと認識してもらうことが大切です。
みなさんも昔、自分が歯医者に通っていたころを思い出してください。
椅子を倒されて、何をするのか見えない中で、先生が次々に器具を持ち替えて何やら口の中でゴソゴソする。
気になるけど、動けないし…と思いませんでしたでしょうか。
印象も同じです。
何をされるのか分からない状態で、めちゃくちゃ大きいお皿が口の方へ近づいてきたら恐怖しかありません。
まずは触ってみて、安心してもらいましょう。
触ってもらうためには、汚いトレーはNGです。また、変形して触ったらケガをするようなトレーもNGです。
結構あるんですよね。壊れているのに使い続けられているトレー。
そんなにめちゃくちゃ高額なものではないですから、壊れていたら新しいものに買い替えてもらいましょう。
もしかしたらあなたの医院の院長は、自分で印象を取らないから、トレーが壊れていることに気づいていないだけかもしれませんよ。
トレーを触ってもらったら、そのまま自分で口にトレーを入れてみてもらいましょう。
みなさんも白いハンカチを急に口に近づけられたら、身の危険を感じませんか?(サスペンスの見すぎかな?)
それと同じで、やはり他人が大きなトレーを口に入れてくるのは怖いので、まずは自分で口の中に入れてみてもらいましょう。
お子さんはきっと、最初は口に入れることを戸惑っていると思います。
そこで積極的に前向きな声掛けをして、口を開けたらほめてあげましょう。
1/8でも口の中に入ったらまたほめてあげましょう。
ちょっとずつちょっとずつ。進歩していることをほめてあげましょう。
この時に、「大丈夫?」とは聞かないことをおすすめします。
だって、絶対大丈夫ではないですから。
「どんな味する?」とか、「クリームパンとどっちが大きい?」とか、そういう話をした方が気が紛れて良いのではないかと私は考えます。
いかがでしょうか。トレーを口に入れるだけでこの分量の記事が書けちゃいます。どれだけ時間使うねんって話ですよね。
でも、このぐらいゆっくりとやってあげた方が、後に効果が出てくるんです。
続きはまだありますので、また明日、続きを書きますね。どうぞお楽しみに!!