BLOGしょう先生のブログ

第44回【孤独感】矯正治療中に辛くなったら【矯正コラム】

おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。

今日は、矯正中にちょっと悩んでしまった患者様へ送るメッセージです。

少しでも心のさざ波が穏やかになれば幸いです。

 

 

きれいになろうと頑張っていても

矯正治療を開始される方は、将来のきれいな歯ならびを楽しみにしています。

前向きな気持ちで矯正治療を始めますが、それでもみなさんにとって矯正治療は人生で初めてのこと。

初めてのことは、どうしても不安がつきまといます。

 

矯正治療を初めて、歯が少しずつ動いていくにつれて、その不安が、少しずつ少しずつ、小さくなっていくのが一般的です。

でも、中には不安の方が勝ってしまい、不安がどんどん膨らんで、不安でいっぱいになってしまう方もいらっしゃいます。

 

 

矯正治療に前向きになれないとき

私も今までたくさんの患者様を診察してきて、前向きになれない方を少なからず見てきました。

そういった方にどんな言葉をかければ良いのか、非常に悩みます。

 

前向きになれない方の中にもいろいろなタイプの方がいらっしゃいます。

さまざまなパターンがありますので、当てはまる部分と、当てはまらない部分があると思います。

ご自身の不安がどのパターンになるのか、考えながら読んでいただけると幸いです。

 

ちなみに、ここに書いているようなことは、実際に目の前の患者様にはあまり言いません。

例えば、ちょっと気にしすぎてしまっているパターンの患者様に向かって、「ちょっと気にしすぎではないですか?」なんて言ってしまったら、信頼を失ってしまいます。

このページでは、あなたの主治医ではないからこそ、書けることを綴りたいと思います。

 

 

パターン1:小さな不信感を積み重ねている

最終的に不安でいっぱいになるパターンの1つに、矯正歯科に対する小さな不信感がちょっとずつ溜まって、それがいつの間にか大きな不信感になっていることがあります。

例えば

・今月はなんかお支払いの金額が多かった気がする

・そういえば去年の会計の時の受付、新米みたいだったけど、大丈夫かしら

・先月だって受付で名前呼ばれるとき名字間違えてたし…

・そういえば口コミサイトでもここの受付は不愛想って書いてたわ…

こんな感じで、きっかけは「お支払いの金額が気になる」だけだったのですが、そこから膨らんで膨らんで、もうこの歯医者最悪!ぐらいの、負の感情で渦巻いてしまっています。

特にこの小さな不信感を積み重ねるタイプの方は、「そういえば」という言葉が多いです。

実際に口にするのではなく、脳内に「そういえば」のプラカードを持ったおじさんが常にスタンバイしているわけです。

こういった「そういえばおじさん」を育てている方は、ネガティブな思考のループに陥りやすくなります。

 

このようなタイプの方は、まず、「気になったことはその場で聞く」という行動をしましょう。

上記の件も、お支払いの時に、「このお会計って合ってますか?」と聞けば終わっていた話ですが、聞かずに持ち帰ったことで、そういえばおじさんが脳内で暴れまわってしまったわけです。

気になったことをその場で聞き、解決するようにしましょう。

 

また、このタイプに陥りやすい方の特徴として「診察に遅れてくる」「次の予定で急いでいる」ことが多いように思います。

急いでいるからまあいいやと思ってそそくさと医院を出たものの、移動中に気になってしまう。

こうなってしまうと良いことはないので、1つ1つのスケジュールに余裕を持って行動するようにしましょう。

余裕があれば、質問ができるはずです。

 

 

パターン2:治療のゴールに対する理想が高すぎる

矯正治療を楽しみにしていただくのは嬉しいのですが、ごくまれに、ご自身が思っている変化と違うことに落胆し、矯正治療に前向きになれなくなる方がいらっしゃいます。

矯正治療での変化、特にお顔の見た目の変化に関しては、予測が難しいとされています。

もちろん、ある程度の予測はできるのですが、顔の変化は矯正治療だけに依存するものではありません。

 

例えば、女性がこんな話をしているのを聞いたこと、ありませんか。

珠代「私食べすぎたらすぐ顔に出ちゃう」

留美「私はお腹が膨らんじゃうのよ~」

珠代「えーいいじゃん、留美はすぐ元に戻るから~」

留美「まあね!別腹ってありがたいよね~」

同じように食べても、顔の肉付きが良くなる方と、お腹に肉が付く方がいるようですね。

これと同じく、矯正治療でも同じような歯の動かし方をしても、お顔の変化には個人差があります。

そのため、私は、お顔の変化に対する予測は、明言しないようにしています。

みなさんも矯正治療後のお顔の変化をあまり期待しすぎないようにされた方が良いかと思います。

 

 

パターン3:過去を美化している

パターン2と似ているのですが、パターン2と異なり、昔の自分を美化しているのがこのパターン3です。

昔の自分を美化しているってどういうこと?と思われるかもしれませんが、実は多かれ少なかれ、皆さんは昔の自分を美化しています。

その証拠に、私が治療開始後1年や2年経過した時に、その患者様に最初に来られた時の歯ならびの写真を見せると、びっくりされるんです。

「えええ!こんなにガタガタだったの?!」って。

矯正治療では、少しずつ歯が動いていくので、その変化に気づかないことが多く、その結果、昔のめちゃくちゃガタガタだった歯ならびを忘れてしまっているということが少なくありません。

矯正医としては、最初のころと比べてどんどん良くなっていると思っているのに、患者様は一向に歯ならびが変わらないと不満を持ち、前向きな気持ちになれないでいることもあります。

そういった場合は、ぜひ、最初の歯ならびの写真を見せてもらいましょう。

模型でも良いと思います。ずいぶんと気持ちが軽くなると思います。

 

 

パターン4:矯正のみに意識が向きすぎている

歯ならびが気になりすぎて、一日中鏡を見てしまっていると、いろいろな部分が気になってきます。

実は人の顔というのは左右対称ではありません。

でも、ずっと鏡を見ていると、だんだんその左右非対称が気になるようになるんですね。

 

私も、歯科医師免許を取得してすぐの頃は、患者様のお顔の写真をずーっと見ていたので、だんだんめちゃくちゃ細かいところが気になってきて、ちょっとおかしくなっていました。

「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、ずっと鏡を見て口もとを気にしすぎていると、私のようにおかしくなってしまいます。

 

もし、ご自身がこのパターンかな?と思われる場合は、思い切って楽しい予定を入れるのはいかがでしょうか。

このパターン4に陥ってしまうと、ひどい場合は気になりすぎて、人とのコミュニケーションを避けてしまうことがあります。

コミュニケーションを避けると、一人の時間が増え、一人の時間が増えると、鏡を見る時間が増える。そして、もっともっと口もとが気になってしまうというループに陥ります。

ぜひ、そうならないように、お友達と会って、前向きな会話をしていただきたいと思います。

 

 

気になることは遠慮なく質問を

いかがでしたでしょうか。

どのパターンに当てはまりましたか。また、どれにも当てはまらなかったかもしれません。

 

矯正治療は長い期間がかかるので、前向きな気持ちになれないと本当につらいです。

ぜひ、みなさまが明るい気持ちで矯正治療に臨めるよう、祈っております。

 

今日もお読みくださり、ありがとうございました!

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