BLOGしょう先生のブログ

第14回【パン屋から学ぶ】いつものあたりまえに疑問を持とう【衛生士向け講座】

おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。

 

今日は衛生士向け講座として綴っているコラムです。

主に若手衛生士に向けての記事となりますが、新社会人の方にも参考になるような記事にしています。

 

今日の舞台は、おいしくて大好きなのに、ちょっと残念なパン屋さんのお話です。

 

 

焼き立てのカレーパン

お店に入るとすぐ「カレーパン焼き上がりました〜いかがですか〜♪」と明るい声が聞こえてきました。

 

『ラッキー!!』

 

陳列棚のトレーいっぱいに、カレーパンが並んでいます。

まだ誰も取っていない状態で、いかにも出来立てって感じです。

嬉々としてそれを取り、レジに向かいました。

 

 

温めますか?

私が出したトレーを見て、店員さんが一言、こう言いました。

 

「温めますか?」

 

いつもは機械的に「オネガイシマス」と言うのですが、私は、なんとなく機嫌が良かったので、こう答えたんです。

 

「焼き立てなので、温めなくて大丈夫です。」

 

すると、店員さんが「え???」って表情になりました。

そして、ビニールの上からパンに手を当てて一言、こう言ったんです。

 

「これは、冷めてます」

 

あれ?って思いました。

 

「さっき、焼き立てですって言ってませんでした?」って聞いたら

「これは、焼きあがる前から陳列してあったカレーパンなので、冷めてます」って。

 

ガーンですよ。ちびまる子ちゃんもびっくりの、ガーンです。

 

残り1個とかなら気づきますが、トレーにいっぱいのカレーパンが、全部冷めてる?!

そんなバカなと思いながら、奥の厨房を見やると…

 

ありました。

出来立てのカレーパンが、奥の厨房においしそうに並んでいます。

 

陳列してあるのは、冷めたカレーパンで、厨房に、焼き立てのカレーパンがあったのです。

私はがっかりして、店員さんに言いました。

 

「温めてください…」

 

店員さんはとってもにこやかな顔で、奥のカレーパンと取り換えることもなく、マニュアル通り温めて、何事もなかったかのように会計を始めました。

 

 

損した気分

もし、特に何のアナウンスもなければ、私はカレーパンを選ばなかったと思います。

なぜなら、前日にもカレーパンを食べていたからです。

ですが、アナウンスに引き寄せられて、カレーパンを手に取って…

なんだか、がっかりな気持ちになりました。

 

冷めたカレーパンを食べながら、思ったんです。

これって、きっとクレームを受けるスタッフと、そうでないスタッフの差なんだろうなと。

 

 

お客様の気持ちを「汲み取る力」が足りない

おそらくレジのスタッフは、私が温かいカレーパンを楽しみにしているとか、そういうところまで発想が及ばなかったのだと思います。

 

もしかしたら、今回焼き立てに交換すると、次からも同じようなリクエストがされるのではないかと思ったのかもしれません。

ただ、表情から察するに、そういった何かを思考する様子は一切見受けられませんでした。

「温めますか?」

「え、これあったかくないですよ。」

「冷めてますけど、どうしますか?」

 

それだけ。

 

「お客様との些細な一言」から、お客様(歯科医院の場合は患者様)の希望を推測する能力って、とても大切ではないかと、身をもって体験しました。

 

 

こんなとき、どうする?

汲み取る力はさておき、次の話をしましょう。

 

もし、あなたがこのパン屋のレジ係だったとして、今回の出来事に遭遇したら、次は何をすべきでしょうか。

 

それは「このようなトラブルの原因を探る」ということです。

残念ながら、今回のレジの方はトラブルとすら認識していないので、改善はされませんが、みなさんは改善を考えることができます。

 

 

原因を探る

まず、パン屋のレジ係であるあなたは、「お客様が冷めたパンを、焼き立てパンだと錯覚した理由」を考えてみましょう。

 

これは簡単ですね。

調理者が、パン焼き機から焼き立てのカレーパンを出した時点で

「カレーパン焼き上がりました〜いかがですか〜!」と大声で叫んだのが原因です。

 

みなさんは寿司屋で

「ぴちぴちとれとれのまぐろ、いかがですか?」って言われて

「じゃあそれください」って言ったときに

「いや、まださばいてないんで、ないっすよ」とか言われたらどう思いますか?

「ないんかい!じゃあ言うなや!」って思いますよね。

このシステムを改善する必要があります。

 

 

その原因は改善できる?

焼き上がったタイミングでなぜ大声を出すシステムなのでしょうか。

どうしてお客さんが取れないのに、大声で焼き上がりを告げるのでしょうか?

それは、もしかしたらお店の雰囲気を上げるためかもしれません。

だとしたら、何かしらの声を出す必要はありますね。

でも、タイミングは改善できる気がしませんか。

少なくとも、お客さんが取れる焼き立てパンを告知すべきです。

 

 

対策を考えよう

では、どうしたらよいでしょうか。

例えば、焼き上がったものを、陳列棚に持っていく人が「焼き上がりましたー!」っていうのはどうでしょうか。

これなら、お店の雰囲気が良くなるというメリットは残せますし、お客さんも焼き立てパンを正しく取ることができます。

 

 

お店のあたりまえが、お客様のあたりまえとは限らない

「なーんだ、当たり前のこと長々と書いて…」そう思われたかもしれません。

でも、少なくともこのパン屋さんのレジの方は、私ががっかりしたことにすら、気づいていませんでした。

 

むしろ、焼き立てパンだと思って手に取ったことを不思議に思っていました。

なんなら、焼き立てじゃないこと、見たら分かりません?ぐらいの感じで私を見ていました。

 

「焼いた人が声を張り上げてね」と教わっているので、何の疑問も抱かなかったのでしょう。

そういうことって、自分の職場だとなかなか気づけないものなんです。

あのおいしくて残念なパン屋さんは、これからもおいしいけど残念なままでしょう。

 

 

身の回りのあたりまえに疑問を持とう

みなさんも、自分の仕事のルーティンワークで、よく考えたらこれおかしい!ってこと、ありませんか?

それを見つけることはとっても大切です。

そして、それを見つけたら、その原因を考え、対策を考えてみましょう。

 

何かを変えるのはめんどくさい、と思われるかもしれません。

でも、結局あなたが変えなければ、スタッフが大変な思いをしたり、お客様(患者様)が悲しい思いをすることになるのです。

 

それをなんとなく、まあいいかってうやむやにしてしまうのは、ある意味職務怠慢ではないかと私は思います。

ぜひ、あたりまえを見直して、少しずつ良い会社に、そして良い社会にしていきましょう!

今日もお読みくださり、ありがとうございました!

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