BLOGしょう先生のブログ

第192回【早く終わりたい】どうしてなかなか装置が外れないの?【矯正コラム】

こんにちは!今日もお越しくださり、ありがとうございます。

今日は、矯正を始めてからよく聞かれる質問について、お答えしたいと思います。

 

 

いつ終わるの?

矯正治療がいつ終わるのかは、患者様の大きな関心事の1つです。

ですが、私はこの質問をされるといつも困ります。

なかなか明確にお答えするのが難しいのです。

 

 

治療のゴールをどこに持って行くのか

前回の記事で矯正治療は「美しくすること(審美的改善)」と、「よく噛めるようにすること(機能的改善)」の2つの目的があるとお伝えしました。

そして、多くの患者様は審美的改善を求めて来院されています。

そのため、前歯がある程度きれいに並ぶと「そろそろ外してほしい」と仰います。

 

しかし、歯科医師側としては、できることであれば、よく噛めるようになってから矯正装置を外したいのです。

患者様の満足される治療のゴールと、私たちが達成したい治療のゴールに、ちょっとしたずれが生じてしまうのです。

 

 

装置を早く外したい方に尋ねたい質問

みなさんは、矯正治療が終わって、どんなことを望んでいますか。

「笑ったときにきれいな歯ならびが見えたら素敵だな」と思いますよね。

 

矯正治療が進み「いつになったら外れますか?」と聞かれる方は、おおよそその目的を達成している状態です。

矯正治療が進んで、前から見たら、きれいに並んでいる状態になっているのです。

だから、外してほしいと仰るわけです。

 

では、ここで質問です。

【もしその歯ならびが、今後装置を外したら乱れていくと分かっていても、早く外したいですか?】

 

 

機能的改善が将来の安定性につながる

実は、機能的な改善がされていない状態で外してしまうと、安定性に欠けるため、歯の乱れが再発しやすくなります。

矯正治療後に後戻りしてしまう方は、機能的な改善がされる前に装置を外してしまったのかもしれません。

他にも後戻りする要因はあるのですが、少なくとも早く外すことで将来の安定性が保たれる確率は下がります。

 

 

できれば、終了の判断は歯科医師に任せて、最後まで頑張りましょう

私たち歯科医師は

患者様の「将来の幸せ」を考える気持ちと、

患者様の「今の喜び(=装置が早く外れること)」を考える気持ちの間で揺れ動きます。

前歯が並んだ段階では、「早く外してあげたいけれど、今外すと将来は安定しないだろうな…」と思っています。

 

そんな時に患者様から「早く外したい」とか「いつ外れますか?」などと聞かれたら、その理由をお伺いします。

そして、「今の喜び=装置が早く外れること」が患者様が望んでいることだと判断した場合は、将来のリスクを説明したうえで、早めに装置を外すことがあります。

患者様は喜んでくださいますが、私たちとしては、これで良かったのかな…と複雑な気持ちになることが多くあります。

 

患者様にはそれぞれの人生があり、矯正治療だけのために生きているのではありません。

そのため、皆さんそれぞれの優先順位を、一緒に相談しながら、どのタイミングで終わるかを決めていきます。

皆様に正しく情報提供は行いますが、最終的に判断されるのは、患者様ご自身(お子様の場合は保護者の方)になります。

 

この記事を読んでくださった方には、ぜひ、良いかみ合わせの安定のために、最後まで通っていただければ嬉しいです。

それがきっと、将来の笑顔に続くことになるのではないかと、私は考えています。

 

今日もお読みくださり、ありがとうございました!

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