BLOGしょう先生のブログ

第59回【お金の話】矯正治療の値段を考える【矯正コラム】

おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。

今日は、矯正治療の費用について、私の考えを綴りたいと思います。

 

 

食べられないアボカド

先日、コンテナブースで販売しているアボカドを買いました。いつもはスーパーで買っているのですが、そのブースではスーパーよりも3割ぐらい安く、お買い得だなと思ったんです。

いつもは1つしか買いませんが、アボカドは日持ちするし…と思って、2つ買って帰りました。

 

そして今朝、アボカドをパンに乗せて食べようと思って1つを切ってみました。

 

すると、切ったところが空洞で、その回りは白く変色しています。

今まで傷んだアボカドは何度か遭遇しましたが、見たことのない真っ白な状態。

これはどういうことかと思いつつ、全体を切ってみると、中はかなり黒ずんでいました。

もしかしたら緑の部分はまだ食べられるのかもしれないけれど、ちょっと食べたら何かが起こりそうな予感。

もったいないと思いながらも、その1個は処分しました。

 

そしてもう1つを切ってみたら、こちらは白くはなっていませんでしたが、こちらもかなり黒ずんでいて、ちょっと食べるのはなあ…ってところ。

ただ、もったいない気持ちが勝ってしまいました。

スプーンでくりぬいて、中身の比較的きれいなところだけディップにして、ツナと和えてサラダに乗せて食べました。

 

3割引きのアボカド2個で、中身はいつもの0.5個分ぐらい。

結局スーパーで買ったアボカドよりも、高くついてしまいました。

 

 

安い理由って、なんだろう

お野菜や果物って、畑の横で無人販売されていたりするものが取れたてでおいしいイメージがありませんか?

私はそんなイメージで、今回安いアボカドを露店販売から買いました。

でも、ちょっと私の期待とは異なり、結局高くついてしまいました。

 

もしかしたら、たまたま今回手に取ったアボカドがよろしくなかっただけで、その他のお野菜やアボカドは鮮度も良く、おいしかったのかもしれません。

お野菜であれば、また次はしっかりと目で見て選べば良いのかもしれません。

 

でも、矯正治療だったらどうでしょうか。

たまたま選んだ歯科医院が合わなかったら、次の歯医者を選べば良いでしょうか?

歯は捨てて新しいものを買うことができません。

安さを歯科医院選びの基準とするのであれば、その安い理由について、しっかりと吟味する必要があると思います。

 

 

治療費の安さの秘密として、考えられること

高い志(こころざし)

どこの世界にも高い志の方はいらっしゃいます。

「よい治療をして、患者様に喜んでもらえたらそれでよい!だから、費用なんていらないよ。」

そう考える歯科医師は、一定数存在すると思われます。

こういった方は、治療費を安く設定しているかもしれません。

 

 

実家がお金持ち

歯科医師の中には、歯科医師2世が多く存在します。

昔は、歯科医師の収入がとても高い時代でした。そういった方のお子さんは、びっくりするぐらい高い私立歯学部の学費を支払ってもなお、有り余る実家のお金で開業し、全くお金のことを気にせず開業している方も、存在すると思われます。

そういった方は、治療費にあまりこだわりがありません。

【関連記事】歯医者になるにはお金がかかりますか?

 

 

治療経験を積み、技術を高めたい

私が安いアボカドに吸い寄せられたように、やはり安いというのは素晴らしい魅力の1つです。

安い治療費であれば、たくさんの患者様が来られます。

それにより、自身の治療技術を高めようとする考え方も1つだと思います。

 

 

治療数を増やして、ステータスに箔をつけたい

「私は治療経験が100人です」という歯科医師と、「私は治療経験が10000人です」という歯科医師であれば、どちらの先生に診てもらいたいでしょうか。

やはり10000人の治療経験がある歯科医師に診てもらいたいと考えるのが、一般的かと思います。

ホームページなどに、たくさんの治療経験数を記載することでステータスに箔をつけたいと考えている歯科医師もいると思います。

 

 

自信がない

虫歯の治療を専門としている先生が、矯正もちょっとやってみる。

簡単なケースだけ、やってみようかなと思っている。

そんなスタンスで矯正治療に取り組んでいる先生の場合、やはり矯正を専門にしている歯科医師と同じぐらいの金額にするのは憚られるようで、少し安く設定する傾向にあります。

お試し価格、的な考え方ですね。

 

 

私自身の考え

当院は、激安な料金設定にはしていません。

矯正治療費としては普通か、もしかしたらちょっと高いかもしれません。

 

ただ、そこには私なりの考えがあります。

 

イメージがしづらいかもしれませんので、今度は少し具体的な数字を出してお話をしたいと思います。

例えば、当院では1回の診察で、5,000円の調整料をいただいています。

これがもし、2,500円だったとしたらどうなるでしょうか。

 

この2つの歯科医院が同じように医院運営をするとしたら、単純な計算として、以下のようなことが考えられます。

A医院:5000円

B医院:2500円

B医院は、2倍の人を見なければ、医院として経営が成り立ちません。

A医院が1日8時間診療しているとしたら、B医院は16時間診療をして、やっと同じ経営が成り立ちます。

 

えっ、そんなことは無理?

そうですよね。一日に16時間も働けません。

 

それならば、1人あたりにかかる治療時間を、半分にしましょう!

そうなれば、A医院と同じ経営状態になりますよ!!

…そう考えるのは、自然な流れかもしれません。

 

 

過去に勤めた医院での経験

実は上の例え話、私の経験談なんです。

 

私は以前、別の歯科医院で勤務医として働いていました。

いろいろな医院で勤めて経験を積んでいたのですが、その中に1件、矯正治療費が比較的安い医院がありました。

 

その医院では、いつも私は時間がなくて、次々と来院される患者様の治療に追われていました。

患者様ともほとんど話せず、患者様が多すぎるので、診療時間外でのレントゲンの分析や、治療方針の検討などの時間が十分に確保できませんでした。

 

 

私は院長に時間がないと直談判しました。

すると、こう言われたのです。

院長「君は、患者さんの治療方針を立てるのに費やす時間はどれくらいなんだ?」

私「患者様によって異なります。1時間でうまく出来上がることもありますし、1週間経ってもできないこともあり、悩み続けることもあります。」

院長「じゃあ、その時間を全て半分にしたら良い。無駄を徹底的に省いて、かかる時間を半分にすれば、十分な時間を確保できるし、さらに倍の人数の患者さんが見られるし、売り上げもあがるじゃないか。」

私はそれ以上の議論を諦めました。

 

実際に安い治療費を謳っている歯科医院では、こんな会話がなされていることもある、という実体験でした。

 

 

ご自身のお子さんに割く時間を短縮されても良いか

みなさんは矯正治療を受けるにあたって、さまざまなお考えをお持ちかと思います。

「治療のことなんて分からないし、先生に任せるよ」というお父さまや、「うちの子は忙しいから、ちゃっとみてパパッと終わって帰らせてくれる医院の方が良い!」というお考えのお母さまであれば、ご自身のお子さんに割く時間が半分であっても良いかもしれません。

そういった方は、安い治療費をアピールしている医院が合っているかもしれません。

ただ、あなたのお子さんの治療計画を立てる時間も、半分に短縮されているかもしれません。それは、私たち専門家同士でも、実際にその医院で働いてみないと分かりません。

 

 

治療を決める際に考慮してほしいこと

矯正治療費は決して安くありません。

そのため、少しでも安い医院を選びたくなるお気持ちがあるかと思います。

でも、その際に、どうしてその医院だけ安いのか?ということも、考えていただきたいと思います。

「どうして安いんですか?」、「どうして高いんですか?」と聞いても、おそらく答えてはくれません。

 

そして、安かろう悪かろうとも限りません。安くても志の高い良い歯科医院はありますし、その逆もまた然りです。

ご自身の目で確かめて、考えて、選んでいただければと思います。

 

今日もお読みくださり、ありがとうございました!

 

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