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第159回【放置はだめ】大人になってから乳歯が抜けたらどうしたらよいの?【矯正コラム】

おはようございます。今日もお越しくださり、ありがとうございます。

 

昨日の記事で、大人になってから乳歯が抜けることがあるとお伝えしました。

大人の歯が生まれつき少ない方は、乳歯が長く残ることがあります。

その乳歯が抜けてしまったら、どうしたら良いのでしょうか?

 

 

根本的に改善していくならば、矯正治療

乳歯が抜けてしまった場合、矯正治療が第一選択となります。

乳歯の大きさと、大人の歯の大きさは異なります。

そのため、乳歯が残っていた方は、歯ならびにひずみや不調和が生じている可能性が高いです。

 

例えば、電車で7人掛けの席に最初から大人7人が座っているのと、大人6人+5歳児1人が座っているのでは席の埋まり具合が違いますよね。

5歳児が1人席を立ったら、そこに大人がもう1人座れるでしょうか?ちょっと難しかったりしますよね。

 

歯も同じです。

乳歯が1本抜けて、そこに大人の歯1本分の隙間があるかというと、足りないことが多いです。

 

もちろん例外もあるのですが、複雑になるのでここでは細かいことは除いて、なんとなく、合わないんだなとお考え下さい。

 

そういった不調和の状態を改善するために、矯正治療が最適です。

過去に矯正経験のない方であれば、その他の部分の問題点と合わせて、改善していくことが望ましいでしょう。

 

 

現状維持をするのなら、補綴処置

矯正治療が最適なのは分かったけれど、費用も期間もかかるし、今は子どもにもお金かかるし、ちょっと矯正は…と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そういった方は、まずは現状を維持することを考えましょう。

 

乳歯が抜けてしまったら、後ろの歯が倒れてきてしまうわけですから、後ろの歯が倒れてこないように、抜けてしまった場所に人工の歯を入れることで、現状維持を図ります。

人工の歯を入れることを歯科用語で「補綴:ほてつ」と言います。

 

 

補綴には、いくつかの選択肢があります

人工の歯を入れることを、患者様はよく「差し歯(さしば)を入れる」と仰いますが、私たち歯科医療従事者は「さしばって何を指しているんだろ?」と思うことが多いんです。

抜けた部分を補う人工物としては、主にこの3つがあります。

  • インプラント
  • ブリッジ
  • 部分入れ歯

順に説明しましょう。

 

 

1)インプラント

インプラントは、皆さんが想像される、「差し歯」に最も近いものではないかと思います。

インプラントを日本語に訳すと「人工歯根」になります。

チタン製のネジを歯が抜けた部分に埋め込み、歯の代わりに使用するものです。

 

インプラントは他の歯を頼ることなく、自身がしっかりと骨に埋め込まれるので、他の歯へのダメージを減らすことができるメリットがありますが、非常に高額なのが特徴です。

 

インプラントは健康保険が適応できず、非常に高度な技術を必要とする医療になります。

安い費用で実施している医院もありますが、それには何か理由がありますので注意が必要です。

また、一度埋め込むと再度動かすことができません。

そのため、今はとりあえず現状維持をするけれども、将来的に矯正治療を受ける可能性があるという場合はおすすめできません。

 

 

2)ブリッジ

ブリッジとは「橋」のことです。

川にかかる橋は、両側に柱があって、川の上を渡れるようになっていますよね。

それと同じく、歯がない部分の両隣の歯を柱として、人工の歯を真ん中に入れるのがブリッジです。

ブリッジは両隣の歯を柱とするため、柱となる歯は少し削らなければなりません。

保険適応になる場合が多いため、費用はおさえられますが、健康な歯を削ることが大きなデメリットになります。

そして、ブリッジ部分は歯磨きが難しくなります。どうしても歯ブラシやフロスの届きにくい場所が生まれてしまうため、新しい虫歯を作りやすいという欠点があります。

 

また、インプラントと同じくブリッジを作成すると、その後矯正治療を行う際にはブリッジが矯正の妨げになります。

インプラントとは異なり、一旦撤去することはできるのですが、土台となった歯が削られているという問題点が生じます。

 

 

3)部分入れ歯

部分入れ歯はみなさまCMなどで見たことがあるかと思います。

部分入れ歯は歯を削る量が最も少なく、金具を掛ける歯を少し削る程度で作成することができます。

費用もインプラントほど高価にはなりません。

ブリッジで問題となった歯磨きのしにくさも、取り外しができるのでありません。

 

ただ、違和感が大きいことや、入れ歯自体のお手入れが必要なことから、使用をやめてしまう人がいます。

そして、使わない間に後ろの歯が動いてしまい、結局意味がないことになってしまうことが最大の問題点です。

 

今は一時的に部分入れ歯を入れて、ゆくゆくは矯正治療をして、しっかりと治したいと考える方には良い選択肢ではないかと思いますが、必ず使わなければならないということを忘れないようにしたいですね。

 

 

現状維持が大切な理由

矯正治療をしたらお金がかかる。

矯正治療をせず、何かしらの補綴処置をするとしてもメリットやデメリットがある。

 

なんだかややこしいし、もうそのままでいいかな…と思ってしまう気持ち、分からなくもないです。

でも、絶対に放置することはやめましょう。

 

歯は、1本がダメになると、ドミノ倒しのように次々と悪くなっていくと言われています。

 

歯は食べ物を食べるときに必要な器官ですが、食べ物を食べたり、くいしばったりする時に、ご自身の体重以上の力がかかると言われています。

その力を受ける歯が1本だめになってしまうと、その他の歯の受ける力が増えてしまうのです。

 

最初はたった1本。

でも、そこから他の歯の負担が増えて、次の1本、また1本とドミノ倒しのようにだめになってしまいます。

そのことを知らない方が、たくさんいらっしゃいます。

 

どうかこの記事を読んでくださった方は、1本1本の歯を大切にしていただきたいです。

そして万一だめになってしまった場合は、しっかりと治療を受けて、ドミノ倒しが進まないように対策をしていただきたいと思います。

歯は失って初めて、大切さが分かります。

この記事を読まれた方が、後悔先に立たずとならぬよう、少しでも長い間、おいしく物が食べられることを願っています。

 

今日もお読みくださり、ありがとうございました!!

 

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